この内アジア最終予選グループAは、敵地に乗り込んでウズベキスタンと対戦した日本が、前半9分FW岡崎のヘッドで先制点を奪うと、その後のウズベキスタンの猛攻を凌ぎ1−0で勝利を収めた。日本は最終予選2試合を残して4大会連続4度目のW杯本大会出場を決めた。また、同じくグループAのオーストラリア、グループBの韓国も本大会出場を決めた。
この他欧州予選でグループ9のオランダも本大会出場を決め、欧州予選突破第一号となった。
W杯本大会出場を決めた日本は10日、ホーム(横浜・日産スタジアム)でカタールと、17日にメルボルンでオーストラリアと対戦する。W杯南アフリカ大会は2010年6月11日開幕する。
【試合結果(日本関係分)】
日 本 1−0 ウズベキスタン
(得点者)
前9分 岡 崎
太字はホームチーム
<コメント>
南アフリカW杯本大会出場にリーチが掛かった日本代表が敵地で本大会進出を決めた。
W杯アジア予選と言えば過去、「ドーハの悲劇」、「ジョホールバルの歓喜」など様々なサブタイトルが付され、ドラマとなって語り継がれて来たが、今回は、苦しい試合こそあったにせよ、危機的状況の中戦う事はなく2試合残して予選突破と言う、あまりドラマティックな展開ではなかった最終予選だった。強いてタイトルを付けるならば「指揮官のご乱心」だろうか。(確かに審判のジャッジもかなりホーム寄りだったがと思うが・・・。)
それでも予選突破を決めたウズベキスタン戦では、産みの苦しみを味わった。試合開始早々に先制点を奪ったまでは良かったが、その後はこの試合で敗れればW杯出場が絶望的な相手の猛攻に耐え忍ぶ時間帯が続き、決定的なピンチも何度かあった。それでもGK楢崎、中澤両選手を中心にディフェンス陣が踏ん張ってゴールを割らせる事を許さなかった。
一方、攻撃の方は深い芝の影響もあってか、身上とするパスサッカーは影を潜めキリンカップで見せた多彩な攻撃を繰り出す事も出来なかった。それでも試合後、中村選手がコメントしていたようにどんな状況でも勝つ事が出来、チームとして引き出しが増えた事を今後に生かせれば、貴重な経験をしたと言えるだろう。
さてW杯予選を突破した今、本大会まで残された時間をいかに過ごすかが重要になってくる。岡田監督はベスト4を目指すと監督就任時に公言した。高い理想を持つ事は良い事だし、多くのサポーターもそうなって欲しいと願っているだろう。
しかし現実を振り返ると、地元開催だった2002年の日韓大会を除きW杯での実績は勝ち点1、つまり未だ勝利を上げていない事も忘れてはいけない。ウズベキスタン戦で経験した相手ペースの試合展開は、本番でも想定される。ウズベキスタンよりも数段レベルの高いチームと対戦していたら、恐らくゴールネットを揺らされていただろう。現状ではベスト4への道はとてつもなく険しく、もっと極端な言い方をすれば無謀だと言われても反論出来ず、サッカーの中心であるヨーロッパでこんな事を真顔で言ったら失笑を買うのがオチである。先日対戦したベルギーの監督が語っていた事が、世界から見た日本のレベルである。(だからこそ「世界を驚かす」なのだが・・・。)
残された約1年でそこに近づく或いは到達する為には選手が精進する事は勿論だが、協会を含めたサッカー界全体が同じ方向を向かなければならない。秋にオランダ戦が予定されているが、それ以外にも日本より格上の相手と、敵地でどれだけ対戦し世界との差を肌で感じる事が出来るか。マッチメークの力量が問われる1年とも言える。
取り敢えず最終予選を突破し、世界への挑戦権を再び獲得した岡田ジャパン。残り2試合で世界と対峙する姿の片鱗を見せられるかどうか。アジア予選のゴールは、「世界ベスト4」へ向けた戦いの始まりでもある。世界を驚かせるような戦いをして目標を達成出来る事を期待したい。

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