柔道の北京五輪代表選考会を兼ねた全日本選抜体重別選手権は5日、福岡国際センターで開幕し、男子60キロ級で五輪3連覇中の野村忠宏(ミキハウス)が、準決勝で浅野大輔(自衛隊)に敗れる波乱があった。北京五輪代表は6日の大会最終日終了後に決まるが、4連覇が懸かる同五輪の代表選出は微妙な状況になった。
野村は初戦の1回戦で豊田真太朗(警視庁)にゴールデンスコアまでもつれる辛勝。2戦目の準決勝では3分40秒に場外際で浅野に背負い投げで技ありを奪われ、小内刈りでの効果と相手への指導で反撃したものの逆転できなかった。
<コメント>
北京五輪で期待の懸かる柔道の代表選考会を兼ねた全日本選抜体重別選手権。60キロ級で、これまで「絶対王者」だった野村選手が準決勝で敗退し、五輪4連覇どころか北京五輪出場すら危うい状況となった。
初戦から苦戦し、延長にもつれ込んでようやく勝利したものの続く準決勝では実績で格下の選手相手に技ありを奪われて、決勝の舞台すら踏む事が出来なかった。試合後、畳にへたり込む姿が印象的で、そこには五輪で3つの金メダルを獲得した勝負師としての面影はすっかり消えていた。
アテネ五輪が終わってから怪我に泣かされ満足な調整が出来なかったようだが、この大会の前に行われた記者会見では自信を見せていた。「普通にやれば代表に選ばれるだろう」と言う慢心があったのか(試合後のインタビューではそれを認めていた)、それとも年齢から来る肉体的な衰えか。
この階級で優勝したのは、ここのところ国際大会などで好成績を収めている平岡選手。柔道の代表選考は過去の実績も加味される為、この大会で優勝=北京五輪代表とはならないが、代表から落とす大義名分も無いだろう。
この大会は、今日行われる男子100キロ超級に出場する井上選手がどんな戦いをするかに注目が集まっている。アテネ五輪後、不振が続いている日本柔道だけに、安全策でベテランを代表にする可能性も残されてはいるが、もう1人の「勝負師」が五輪4連覇という偉業を達成する舞台に立つ事が出来ぬまま、畳から去ろうとしている。

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