国際水泳連盟は22日、男子200メートル背泳ぎで入江陵介(19)=近大=が5月10日の日豪対抗(キャンベラ)でマークした1分52秒86のタイムについて、認可された水着を着用していなかったという理由で世界新記録に公認しなかったと発表した。
入江はライアン・ロクテ(米国)が昨年の北京五輪で出した1分53秒94の世界記録を1秒08も上回った。しかし、3月に導入した水着の新規定に基づき審査した国際水連は、入江が着用したデサント社製水着は「空気をためる効果を発揮する構造をつくってはいけない」というルールに抵触するため認可しなかった。国際水連は3月から世界記録公認の条件に、認可水着の着用を追加し、入江の記録公認の結論を出していなかった。
国際水連は22日、これより先に入江が着たデサント社製など、5月に認可せずに改良後に再提出された世界20社の計188タイプを認可したと発表した。
この日の発表で、世界選手権(7〜8月・ローマ)で着用できる水着が出そろった。認可された水着はラベルが付けられ、競技前にチェックを受ける。入江は認可された水着を着用し、世界選手権で再びロクテの世界記録に挑むことになる。
入江と同様に認可されなかった水着を着た、男子100メートル自由形のアラン・ベルナール(フランス)が4月に出した46秒94も世界記録に公認しなかった。
<コメント>
政治の世界では衆議院と参議院で与野党が逆転する、いわゆる「ねじれ現象」が起きて久しいが、水泳界でも世界記録より速い日本記録が誕生すると言う「ねじれ現象」が起きる事になった。
北京五輪前から問題となっている水着。今回、入江選手は未認可の水着を着用して出した記録の為、国際水練は世界記録として公認しなかった。一方、日本水連はこの記録を公認した為、上に書いたような「ねじれ現象」が起きた。(但し、「未公認水着着用」と言う注釈を付けて混乱を避けるようであるが・・・。)
何より複雑な心境なのは入江選手本人だろう。昨年、レザーレーサの水着が話題となった時、平泳ぎの北島選手が「泳ぐのは僕だ。」と言うようなフレーズがプリントされたTシャツを着て競技会場に姿を見せた事があったが、まさにその心境だろう。他に公認されなかったアラン・ベルナール選手(フランス)の陣営は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てする可能性を示唆していると言う。
入江選手も色んな思いはあると思うが、ともあれ7月に行われる世界水泳で着用出来る水着が出揃った訳だから、その場で再び世界記録を塗り替えるような泳ぎを見せて、正真正銘の世界チャンピオンである事を証明して欲しい。
それと共に、記録を出すのはあくまでアスリート本人である。技術の進歩で選手が身に付ける道具がその一翼を担うのは仕方が無い事としても、道具が好記録の主な要因になる事はあってはならないと思うし、今回のような混乱が今後起きない事を願いたい。

→世界水泳でぜひ世界記録を更新して欲しい、と思っている方はクリックをお願いします。

→ついでにこちらもポチっと押して頂けると有難いです。