日本は3回に小笠原選手のタイムリーヒットで先制点を上げたが、5回裏秋信守選手のソロホームランで韓国が追いついた。その後日本が7、8回に追加点を上げて引き離すも韓国が粘りを見せて9回裏に同点に追いつき延長戦に突入した。
10回表、2、3塁にランナーを置いてイチローが韓国の抑え林昌勇投手から2点タイムリーを放ち勝ち越すとその裏、準決勝から抑えに回ったダルビッシュ投手が締めて追いすがる韓国を振り切った。
尚、大会MVPは前回大会に続いて松坂大輔投手が獲得した。第3回WBCは4年後の2013年に開催される予定となっている。
【決勝戦試合結果】
日 本 0 0 1 0 0 0 1 1 0 2 5
韓 国 0 0 0 0 1 0 0 1 1 0 3
<コメント>
「世界をつかもう!!」某ファーストフードチェーン店がWBCのキャンペーンで打ち出したキャッチフレーズである。
2月の宮崎合宿から始まった世界チャンピオンという名の港を目指す航海。幾多の荒波が襲い掛かってきたが、サムライは怯む事なく前に進み、世界チャンピオンの称号を掴み取ってそして港に辿り着いた。いや、連覇したのだから帰港したと言った方が良いのだろうか。
この大会5回目となったライバル韓国との一戦は世界チャンピオンを懸けた、まさに死闘と呼ぶにふさわしい好ゲームだった。仕事から帰って録画していたVTRを見たが、特に試合の後半は興奮の中にも緊張の糸が張り詰めた雰囲気がひしひしと伝わって来た。試合内容はメディアなどの情報を多くの人が目にし耳にしているだろうから詳しくは書かないが、最後は日本の勢いが僅かに韓国のそれを上回った格好となった。また、野球大国アメリカでアジアの国同士が激闘を繰り広げた事は意義深い事だと思う。日本の優勝が喜ばしい事は当然の事であるが、終盤驚異的な粘りを見せた韓国にも賛辞を送りたい。
先発の岩隈投手、準決勝から抑えに回ったダルビッシュ投手、相手のチャンスの芽を摘み取った内川選手の好捕、好返球、そして繋ぎの野球を知らしめた打撃陣。どれもみなファンの心を打つプレーばかりだった。その中でドラマのクライマックスシーンの中心にいたのが、この大会打撃不振でいつ火を噴くのかが日本国民の関心事となっていたイチローだった。何だかんだ言ってもイチローなのである。そう言う強運のような物を持っているのだろう。地獄の苦しみから天国へ・・・。これ程完成度の高いノンフィクションにはそうそうお目にかかれないのではないだろうか。
選手個々の力量は韓国よりも日本、日本よりもアメリカの選手が上を行っているのは事実だしこの図式は当分の間、変わらないと思う。(韓国と日本は入れ替わるかも知れないが・・・。)しかし緻密な繋ぎの野球が出来れば、パワーを全面に押し出す本場の野球とも十分に渡り合える事を日本の選手が示してくれた。
スモールベースボールが世界の野球に地殻変動を起こすには、それでもやはりアメリカに勝ち続けなければならない。とてつもなく長い、険しい道のりである。が、今回アメリカを破り世界一になった事で野球の本場であるアメリカのファンの心を少しはくすぐったのではないだろうか。日本のスタイルを野球の本場アメリカで見せつけただけでも意義のある大会だったと思う。
かくして盛況の内に2回目のWBCは幕を閉じたが、その一方で多くの課題が浮き彫りとなった。敗者復活戦方式は同一カードを連発し、開催時期の問題、更にはメジャー球団の選手の起用法に対する必要以上の介入などクリアすべき課題は多い。よくサッカーのW杯と比較されるが、歴史を重ねたそれと違いワールドベースボールクラシックはまだ始まったばかりである。今後参加各国が協力し合い徐々により良い大会になる事を願いたい。
翻って日本のプロ野球は未だ人気低迷の中にあるが、今回のフィーバーを見ると野球が敬遠されている訳ではない。選手のひたむきなプレー、スリリングな展開が見られればファンは戻って来る。そういう意味で今回出場した選手、関係者がそれぞれ得た経験を各チームに戻ってどのように還元し、そして自身のプレーにどう生かすのか。プロ野球の人気復活の責務を担う事になるであろうサムライ達の今後の活躍に期待したい。
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